
ハラスメント相談、会社はどう対応しますか?
古くから営まれている会社さんから、就業規則を今の時代にあったものにして欲しいとの依頼がよく入ってきております。
今となっては会社に対応が義務付けらえていることですが、昔は会社さんもあまり意識されてなかったこと・・・・
そう!今ではよく聞くハラスメントについての追記提案も多いです。
ということで今回は、職場のパワハラについてふれていきます。
職場におけるパワーハラスメントの定義
職場におけるパワハラとは、以下の3つ全てを満たす場合に該当します。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるもの
パワハラの具体的な事例は以下の通りです。あくまで代表例であり、以下に当てはまらないといけないというものではありません。

引用元 厚生労働省資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000855268.pdf
本人がパワハラと言えばパワハラになるのでしょうか?
ハラスメントという言葉は、多くの人に知られている言葉であり、毎年色んな○○ハラスメントが増えています。
では、本人が「不快だ」と思えば、すべてハラスメントに該当するのでしょうか?
答えは、違います!とは言い切れない、歯切れの悪い回答となります。
なぜなら、明らかにパワハラの定義に当てはまれば「法律上のパワハラに当たりますね」と判断できますが、個々の起きた時の状況を調査しないことには断定できないケースが多くあるからです。
では、もしも従業員からパワハラの相談があった場合、会社としてどういった対応が必要なのでしょうか?

◎会社が対応すべきことの大枠は以下のとおりです。
1)事実確認の調査
2)調査の結果、ハラスメントに当たるか判定
3)判定結果に基づいて、会社として人事上の措置や懲戒処分などを行うかを判断
4)再発防止の措置を行う(定期的な研修の実施や会社の方針・相談窓口の案内など)
今回は、「事実確認の調査」について見ていきます。
まず、会社には、「事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること」が義務付けられています。相談があった場合は、迅速に事実確認を進めていきます。
①被害者へのヒアリングを行う
□ 誰から、
□ どういったパワハラを受けているのか、
□ その言動はどういった状況で発生したものなのか など詳細確認をします。
ヒアリング者は、徹底してヒアリングに徹することが大切です。話を聞く中で指導や否定的な発言をしないよう注意しましょう。
また、ヒアリング内容は書面にし、被害者に相違がないか確認しておきましょう。
②加害者からヒアリングを行う
加害者にヒアリングを行う前に必ず被害者の承諾を得て行ってください。承諾があれば、被害者からヒアリングした内容について、事実確認をしていきます。
また、加害者側のヒアリングも、被害者の時と同じようヒアリングに徹するように注意してください。
③関係者からもヒアリングを行う
加害者と被害者の言い分に違いがある場合など、状況に応じて第三者からもヒアリングを行っていきます。個別のヒアリングや匿名のアンケートを行うなどの方法があります。
他に被害者がいないかの確認にもつながります。
調査の結果、職場のハラスメントに該当するかは、ハラスメントの定義で最初に記載した以下3つを全て満たすかで判断していきましょう。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるもの
仮に上記の全てを満たさず、判断に迷うことがあった場合、「平均的な労働者の感じ方」を基準として考えてみます。
□ 被害者と同じ状況で
□ 同様の言動を受けたとした場合
□ 社会一般の労働者がどう感じるか
調査にはそれなりの時間がかかりますが、丁寧にしっかりと対応していくこと、適切な判断をしていくことが、会社の信用につながっていきます。
また、対応して終わりではなく、必ず再発防止のため定期的な啓蒙活動は行うようにしてください。従業員が安心して長く働いてもらうことが、会社を継続的・安定的に成長させていく礎になり得ると考えます。