
時間単位の有給休暇、パートタイマーはどう考える?
最近、就業規則の見直しのご依頼をいただいている中で「有給休暇を時間単位取得」についてご質問を受けました。正社員は基本、毎日同じ勤務時間のためシンプルですが、日によって働く時間が違うパートタイマーの場合は「1日何時間で考えれば良いの?」という疑問に回答していきたいと思います。
そもそも時間単位の有給休暇とは?
1時間単位の有給休暇(時間単位年休)とは、そのままの言葉通り1時間単位で有給休暇の取得を認める制度のことです。
有給休暇は、本来1日単位で取得して心身を休めることが目的のため、これまで時間単位での有給は認められていませんでしたが、2010年の法改正で「5日を限度」として、「就業規則に規定し+労使協定を締結」すれば時間単位でも取れるようになりました。
1時間は最小の単位のため、2時間や3時間といった取得も可能です。(分単位はNG)
例えば、1日の所定労働時間が8時間の会社であれば、従業員が時間単位年休を取得できる上限は「40時間(8時間×5日)」までとなります。
日によって勤務時間が違うパートタイマーの対応は?
正社員であれば、上記記載のように1日の所定労働時間は一緒のためシンプルですが、日によって所定労働時間が違うパートタイマーの場合は、以下のように考えます。
【原則の考え方】
1年間における1日平均所定労働時間が1日の年次有給休暇に相当する時間数
【原則以外の考え方】
1年間の総所定労働時間なんて決まっていないのですが・・・という場合は、
「週単位」「月単位」などで定められている所定労働時間をその期間の所定労働日数で割った数値が、時間単位年休を取得する場合の1日の年次有給休暇に相当する時間数となります。(要は単位を狭めて平均値を取るということですね)
ちなみに、平均値を取った結果、1時間未満の端数がでた場合は、1時間に切り上げます。
仮に6時間30分であれば、7時間に切り上げます。
結果、35時間(7時間×5日)まで時間有給が取れるということです。
労使協定で締結する内容
時間単位年休の導入には労使協定の締結が必要です。
労使協定で定める事項は下記の事項となります。
- 時間単位の年次有給休暇を対象とする従業員の範囲
一斉作業が必要な現場など時間単位年休がなじまない部署以外に限定することができます。 - 時間単位年休の日数
年5日を限度として2日や3日といった日数を決めることができます。 - 時間単位年休の1日の時間数
1日の所定労働時間が8時間分であれば、8時間となります。
パートタイマーで時間の幅がある場合は、
「5時間を超え6時間以下の者は、6時間」といった決め方もできます。 - 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
2時間単位など、1日の所定労働時間未満の時間数で設定します。
下記参考リンクに就業規則への規定例も記載されていますので、ご確認ください。
【参考リンク】
厚生労働省:年次有給休暇の時間単位付与
https://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf
時間単位年休の背景には有給休暇の取得率が増えないことの課題解決と時間単位での取得希望が多いことが後押しになった部分もあるようですが、特に子育て世代や介護をしている従業員は有給休暇を有効活用しやすくなりましたね。
一定の従業員だけでなく全従業員にとって有効活用ができるため、働きやすい環境つくりには適している制度です。管理も含めて対応できるか不安な場合は、是非ご相談ください。
