
社労士コラム 2024年12月9日
採用内定取消し事案のご紹介
前回の続き、採用内定について取り上げていきます。
今回は、「採用内定の取消し」の裁判例を紹介していきます。
採用内定後の歓迎会等での発言を理由とする内定取消が有効とされた事案
この事案は、東京地裁令和4年9月21日判決の裁判例となります。
採用内定後の取消しは、入社前であったとしてもハードルが高いということを前回のコラムでお伝えしました。では、そのハードルが高い内定取消しが有効とされるに足る理由にはどんなものがあったのでしょうか?
以下で具体例を出しますが、端的に言うと飲食の場での内定者の不適切な言動です。
(具体例)
- 上司や先輩にあたる社員を呼び捨てにした。
- 入社理由について、ついでに受けただけ。たまたま採用までのスピードが早かったので、入社することにした旨の発言をした。
- 社員のことを「やくざ」、「反社会的な人間に見えるな」と発言をした。
・・といったものです。
その場で、そういった発言に対して会社の方がたしなめたようですが、収まらず。
入社後、お客様と会食をする機会もある仕事でもあり、採用内定取消しに至りました。
裁判では、上司や先輩に対する礼を失するもの、侮辱的なものであって、著しく不穏当で不適切である。発言が、飲酒の上のものだとしても、従業員同士の協調に反し、職場の秩序を乱す悪質な言動であると判断されました。
極端な例かもしれませんが、「採用内定取消しの理由が妥当かどうか」で判断された一例としてご紹介しました。

会社側も見られていることを意識しましょう
採用内定前や内定後に飲食の機会を設ける場合、是非気を付けておきたいのは、会社側も内定者から見られている、ということです。
その会社内では「普通」とされていることが、実は一般的ではない、、ということは意外とあります。(中にいると分からない or 最初は違和感があっても慣れてしまったなど)
飲み会の場だからと羽目を外し過ぎたり、圧をかけたりといったことがないよう楽しい場にして、一緒に働きたいと思ってもらいたいですね。