有給休暇は会社が断れる?
~ 時季変更権の正しい使い方とトラブル防止の実務 ~
有給休暇に関する顧問先様からのご相談事例「その2」をご紹介します。
「繁忙期なので、有給休暇の申請は基本的に認めない運用にしたいのですが問題ないでしょうか?」
現場としては理解できるお悩みですが、結論から申し上げると、
会社が自由に有給休暇を拒否することはできません。
ただし、全く関与できないわけではなく、「時季変更権」という制度があります。
今回はこの判断が難しいポイントを、実務目線で整理します。
有給休暇の基本ルール
まず前提として、有給休暇は 従業員が時季を指定して取得する権利として認められています。
そのため、「申請があった」→ 原則として会社は認める必要がある
というのが出発点です。
時季変更権とは何か
会社が関与できるのは、以下のケースのみです。
👉 「事業の正常な運営を妨げる場合」
この場合に限り、別の日に変更することが可能です。
ここで重要なのは、
👉 ❌ 取得そのものの拒否ではない
👉 ⭕ あくまで日程の変更という点です。
判断基準は想像以上に厳しい
実務では「忙しいからダメ」と判断してしまいがちですが、それだけでは認められません
● 認められにくいケース
・慢性的な人手不足
・繁忙期である
・他の社員との調整が面倒
● 認められる可能性があるケース
・代替要員が確保できない
・業務が停止するレベルの影響がある
・特定の専門業務が回らない
👉 判断の核心は「その日でなければ業務が成立しないか」です。
よくあるトラブルパターン

①上司判断で却下
現場レベルで判断してしまう→ ❌ 違法リスク
②暗黙の抑制
「忙しいから遠慮して」という空気→ ❌ ハラスメントに発展するケースあり
③申請ルールが曖昧
口頭・当日・記録なし→ ❌ トラブルの温床
実務での正しい運用設計
このテーマは制度よりも「設計」が重要です。
①申請ルールの明確化
・何日前まで
・誰に
・どの方法で
②業務の属人化を減らす
・引き継ぎ体制
・マニュアル整備
③シフト・人員計画
・繁忙期を前提に配置
社労士からのアドバイス

有給トラブルは、法律論より感情で悪化するケースが多いです。
・ルールの明確化
・公平性
・説明の納得感
この3点を意識した運用が重要です。
人事労務の運用についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。